「社員からネットが遅いと言われているが、何が問題なのかわからない」「業者に相談しても、どこから手をつければいいか見えない」──こうした声は、中小企業の経営者からよく聞かれます。
結論からお伝えすると、オフィスのネットワーク遅延は原因が複数重なっていることが多く、1か所だけ直しても改善しないケースがあります。この記事では、原因の切り分け方から、経営者として意思決定すべきポイントまでを解説します。
ネットワーク遅延は「インターネット接続回線が遅い」だけが原因ではありません。
社内の機器の老朽化、Wi-Fiのアクセスポイント設計の問題、クラウドサービスへのトラフィック集中など、複数の要因が重なって起きていることがほとんどです。まずは「どのレイヤーの問題か」を整理することが、無駄な出費を避けるうえで重要です。
ネットワーク遅延の原因は、以下の4層で整理すると判断しやすくなります。
| 層 | 主な原因 | 症状の例 |
|---|---|---|
| ① 回線 | 帯域不足、PPPoE接続の混雑 | 昼間・夕方に特に遅くなる |
| ② 機器 | ルーター・スイッチ・APの老朽化 | 特定の時間帯に関係なく遅い |
| ③ 設計 | APの配置が不適切、VLAN未設計 | 場所によって速度差が大きい |
| ④ 使い方 | Windowsアップデートの一斉実行、動画視聴の多発 | 特定の行動をきっかけに遅くなる |
経営者が判断すべきは「①〜③のどこに投資するか」です。④の使い方ルールはコストをかけず社内で改善できますが、①〜③は専門家の診断と機器・工事への投資が必要になります。
入居しているビルによっては、インターネット回線がテナント全体で共用になっているケースがあります。この場合、他社が大量通信をしている時間帯に自社の速度が著しく落ちることがあります。
確認方法:契約している回線が「共用型」か「専用型」かを管理会社または回線事業者に確認します。
多くの光回線では、旧来の接続方式「PPPoE」を使い続けている企業がまだ多く存在します。PPPoEはネットワーク事業者の設備(NTTのNGN網)に集中するため、混雑しやすい構造です。IPoE(IPv6)接続に切り替えることで、経路が変わり速度が改善するケースがあります。
参考:総務省「令和5年版 情報通信白書」では、クラウドサービス利用の急拡大により企業の帯域需要が増加していることが示されています。 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/
一般的なネットワーク機器の使用目安は5〜7年です。それ以上使い続けると、処理能力の低下・ファームウェアのサポート終了・セキュリティリスクが重なります。
「回線を変えたのに遅い」という場合、ルーターやスイッチが処理のボトルネックになっていることが多くあります。
機器の更新判断チェックリスト:
RIKEN TOKYOの視点 弊社にご相談いただく中小企業のオフィスでは、導入から7〜10年以上経過したルーターやスイッチをそのまま使い続けているケースが少なくありません。「回線速度は契約上1Gbpsあるのに実測100Mbps以下」という状態は、多くの場合、機器側がボトルネックになっています。機器更新だけで体感速度が大幅に改善した事例もあります。
フリーアドレスやABWを導入したオフィスでは、社員が自由に動き回るため、アクセスポイント(AP)のカバレッジ設計が重要になります。「廊下や会議室の端では遅い」「特定の席だけWi-Fiが不安定」という症状は、APの配置や台数の問題である可能性が高いです。
Wi-Fiは2.4GHz帯と5GHz帯(最新のWi-Fi 6E/7では6GHz帯も)を使い分けます。電子レンジやBluetooth機器が多い環境では2.4GHz帯が干渉を受けやすく、速度が安定しません。
| 周波数帯 | 特徴 | 適した用途 |
|---|---|---|
| 2.4GHz | 障害物に強い。干渉を受けやすい | 広いエリアのカバー |
| 5GHz | 高速だが障害物に弱い | デスクワーク・Web会議 |
| 6GHz(Wi-Fi 6E/7) | 高速・低干渉 | 高密度オフィス向け |
概算費用を確認したい方へ ネットワーク機器の更新やアクセスポイントの追加・再設計にかかる費用は、オフィス規模や現在の状況によって異なります。予算申請や社内検討のために、まずは概算見積をご依頼ください。 スピードお見積りを依頼する
以下は、コストをかけずに社内ルールで対処できる項目です。ただし、これだけで根本解決するケースは限られます。
ネットワーク遅延の相談を受けた経営者が、投資判断をする際の基準を整理します。
| 確認項目 | 判断のポイント |
|---|---|
| 1日中遅い vs 特定時間帯だけ遅い | 1日中 → 機器・設計が問題。特定時間 → 回線・使い方が問題 |
| 全社員に影響 vs 特定の場所・端末だけ | 全社 → 回線・ルーターが候補。局所 → APの配置・端末側が候補 |
| Web会議のみ遅い vs すべての通信が遅い | Web会議のみ → 上り帯域の不足やQoS設定の問題 |
5年以上経過した機器がある場合は、回線契約を変える前に機器更新を検討する優先度が高いです。サポートが終了した機器はセキュリティリスクにもなります。
中小企業のネットワーク再設計で多い失敗は、「機器だけ変えて配線や設計は触らなかった」というパターンです。移転やオフィスリニューアルのタイミングで、電源・LANケーブル・APの配置まで一緒に設計し直すことで、長期的に安定した環境を構築できます。
RIKEN TOKYOでは、ネットワーク環境の診断から機器選定・工事・設定・運用まで、一括でご相談いただけます。
| 支援内容 | 具体例 |
|---|---|
| 現状診断 | 既存機器の状況確認、回線・APの問題箇所の特定 |
| 設計 | アクセスポイントの配置設計、VLAN設計、セキュリティ設計 |
| 機器選定・調達 | ルーター、スイッチ、AP(Wi-Fi 6E対応機器含む)の選定・提供 |
| 工事・設定 | LAN配線工事、機器設置・設定、動作確認 |
| セキュリティ連携 | UTM(FortiGate等)との連携設計 |
| 移転・リニューアル連携 | オフィス移転・内装工事とネットワーク工事をまとめて対応 |
特に、情シス不在・兼任の中小企業でも進めやすいよう、現状の困りごとを整理するところからご支援します。
オフィスのネットワーク遅延を改善するうえで押さえるべきポイントをまとめます。
社内のネットワーク環境にお悩みの方は、まずは現状の状況をお聞かせください。 原因の切り分けから始め、無理のない改善プランをご提案します。
まずは速度測定ツール(Fast.comやSpeedtest.netなど)で実測値を確認してください。契約回線速度の20〜30%を大きく下回る場合は、機器や設計に問題がある可能性があります。ただし、根本原因の特定には現地での機器確認が必要なケースが多いため、専門業者への相談が確実です。
相談できます。RIKEN TOKYOでは、情シス不在・兼任の中小企業でも進めやすいよう、現状整理から機器選定・工事・設定まで一貫して支援します。専門用語がわからなくても、困っている症状をお伝えいただければ原因の切り分けからご対応します。
可能です。機器の選定・調達・設置・配線工事・設定まで対応しています。また、オフィス移転やリニューアルと合わせて依頼いただくと、内装・電源・ネットワークをまとめて設計できるためより効率的です。
オフィスの規模、現在の機器状況、必要な工事内容によって大きく変わります。まずはスピードお見積りフォームからご相談ください。概算費用を素早くご案内します。
従業員数が増えてきたオフィス、フリーアドレス・ABWのオフィス、Web会議が多い環境では、Wi-Fi 6以降への移行を検討する価値があります。ただし機器だけ変えても設計が古いままでは効果が出にくいため、APの配置設計と合わせて見直すことを推奨しています。